| 「政民合同會議」活動報告 |
![]() 平成22年7月7日(水) 講師/田久保 忠衛 杏林大学名誉教授 |
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「最近の国際情勢と日本」 田久保忠衛 杏林大学名誉教授 日本人の国際情勢観には大きく欠落しているものがある。まず大局観がない。たとえば現在東シナ海、艦隊の動きやガス田問題など、現象や事件にとらわれ中国全体の需要問題や政治的動向に沿った考えがない。次にあまりにも事実を重んじない陰謀説などが多い。事件の背後にユダヤ、CIA、KGBがあるという説はいずれも推理の域を出ない。さらに、個人と国家を勘違いしている政治家が多過ぎる。「人の嫌がることはしない」と発言した福田康夫元首相など勘違いも甚だしく、国対国の問題は対個人とは全く別の次元である。 また、外交と軍事を別のものだと考え、段階で線引きしようとする政治家も非常に多いことも問題だ。外交と軍事はコインの裏表であり、日本に外交力がないのは軍事力がないからに過ぎない。中国の軍拡は、「軍事費を積み重ねて不透明」なのではない。過去にも同国政府が表明しているように軍事力を持つこと自体が目的なのだ。日本はこうした重要な視点に気付かず、十年にわたり軍事力を減らし続けている始末だ。 また、日本には一貫してひとつの地域を総括している研究者が育っていない。 現在、私たちはEUという歴史上初の巨大な欧州の経済の統合体が存在し、テロという形を変えた戦争が起こる時代を迎え、太平洋やインド洋が予断の許さない海域となった世界情勢の中にいる。 特に太平洋とインド洋は中国を中心に危険な海の様相を呈していが、中国の脅威に対して日本は無知であり、脅威を恐れ、相手を刺激しまいと見て見ぬふりをしようとしている。しかし、それはかつて旧ソ連の脅威に対し、独立を保障してもらう代わりに反ソ連的なことをしないフィンランドの姿を思い出させる。 中国は大陸国家であると同時に強大な海岸線をもった海洋国家である。経済成長で国民の生活水準が向上したが、さらに上げないと共産党はもたない。そのために50~100年先を見据えて、資源を求めて世界各地に進出している。 一方、日本は普天間問題にしろ大局観に欠け、国際情勢や国家としての戦略についてまるで理解ができていな政治家が増えてしまった。 世界中が中国の動きを懸念している中、日本は50年後には中国の人口を抜くであろうインドとの協力を深めることなども視野に入れるべきだ。 今のままでは日本は所詮米国の対中政策の中に組み込まれるしかないであろう。 一方、米国も中国を世界中のあらゆる機関に取り込み、関与させる「エンゲージメント政策」を行いつつ、有事の保険政策として自国の防衛力をおろそかにしない「ヘッジングポリシー」の両輪で対中政策を抜かりなく行っている。 日本はこれまで「軽武装経済大国」の道はもう十分やった。次の衆院選前には政界の再編成によって外交・防衛を前面に出さねば日本はG2の中で深く沈殿しまうのではないか。 その後の質疑応答でも資源や国防問題についての活発な議論が行われた。 |