「時局国際会議」活動報告

平成23年2月23日(水)
講師/鈴木佑司 法政大学法学部教授
「対米従属を超えて−東アジアとこれからの日本」

 
 現在、私たちは冷戦、ポスト冷戦、戦後体制という三つの体制の終結が重なった過渡期を迎えている。

 わが国はいずれの体制の処理も終えていない珍しい先進国であり、このことが日米安保体制や領土問題など様々な問題につながっている。わが国は、いまや戦後体制の制度疲労によって経済的にも衰退し、世界から「没落する日本」とみなされている反面、国際政治では見返りを求めず、「クールジャパン」であり、政権がめまぐるしく変動しながら大きな混乱が起きず、社会保障制度などアジアの中で桁違いに将来への展望、準備ができているという不思議な側面を持つ。

 31億もの人口を抱える東アジアが今後先進国化していけばどれほど大きなGDPになるかは計り知れず、アジアの時代が来ることは明白だ。わが国経済はすでに国内市場の1億人だけでなく、8.8億人のアジアの中間層をターゲットに動き始めている。今後TPPなどアジア域内で新たな統合の動きが起こることは確実だが、同質性の高い欧州とは異なり、医療制度、社会保障制度など国家間の格差はあまりにも大きい。民主党政権が掲げる日本主導の東アジア共同体ではその答えにならず、日本がアジアに融合し、他のアジア諸国が日本化していくという可能性が高い。それには日米同盟を堅持すると共に新たなネットワークの構築が不可欠だ。

 鈴木教授は様々な統計を長期的な視点で多角的に分析。各現象の原因、歴史的経緯から将来の展望を導き出し、世界におけるわが国の立ち位置、今後日本がとるべき対応策について説いた。また、わが国の持つ底力、可能性についても様々な角度から指摘。さらにマルサスの人口論を基に、各国のおおまかな経済成長予想についても言及した。その後の質疑応答も、中国の抱えるジレンマやその将来像、日本が何世代にもわたって構築してきた人的資源の強さなど多岐にわたり、非常に密度の濃いものとなった。