「政民合同會議」活動報告
       
                      平成22年5月13日(木)
                講師/百地 章  日本大学教授
 

「外国人参政権の問題」

講師/百地 章 日本大学教授


 外国人への地方選挙権付与を容認する説として、国政レベルでは無理としても、地方自治体レベルであれば外国人への選挙権付与は禁止されないとする<部分的許容説>が今日憲法学説では有力になっている。主にその根拠としては、「地方公共団体の長、その議会の議員はその地方公共団体の“住民”が、直接これを選挙する」という憲法93条2項の“住民”は、国民ではない、というものだ。

 しかし、外国人への参政権付与は、国政、地方レベルとも禁止されており、憲法違反とする<全面禁止説>が、今なお通説である。外国人への参政権付与は、まず憲法の「国民主権の原理」に反し、憲法15条1項にある「国民固有の権利」にも違反する。昭和63年に中央大学の長尾一紘教授が提唱した部分的許容説は、もともと研究のために作成されたものに過ぎず、今年になって当の長尾氏自身によって否定されている。

 また、外国人への参政権付与問題は「世界の流れ」ではなく、外国人への参政権付与を認めているのは北欧諸国、EU諸国、イギリス連邦諸国なおごく限られた国々に過ぎない。

 わが国における永住者(特別、一般永住者)の数は一昨年の統計で約91万人。そのうち在日韓国・朝鮮人は約47万人で、この問題を最も熱心に推進してきたのは在日韓国人団体の「民団」であった。彼らは母国で参政権、被選挙権も持ち、すでに国会議員も存在している。また1991年の出入国管理特例法によって、彼らには「特別永住者」として外国人として破格の地位が与えられ、法的地位をめぐる問題は全面的に解決された。2009年からは本国と日本の二カ国で選挙権を行使できることになった。そもそも在日韓国・朝鮮人の多くが朝鮮半島から「強制連行」された人々とその子孫というのは誤りである。

 外国人参政権は単に「在日韓国人問題」であるだけでなく、現在外国人登録者数のトップを占める「在日中国人問題」であるという認識が不可欠だ。中国人はわが国の外国人登録者220万人のうち約66万人を占め、永住者数も今後ますます増加していくと思われる。しかし、北京五輪の聖火リレーが長野市内で行われた際、中国大使館によって動員された全国の中国人留学生が長野に集結し、国旗を掲げて傍若無人に振る舞ったことは記憶に新しい。

わが国に十分な国家論のないまま、安易に外国人に参政権を与えることは、わが国の領土や安全保障問題にも重要な影響を及ぼす危険がある。アメリカでは、「いざというとき米国のために武器をとって戦えるか」と国家に対して永久の忠誠義務を負うことを宣言した者にしか国籍、参政権は付与されない。かたや、日本は平成20年に国籍法が改正されるなど、国籍の重みを無視した安易な改正が行われているのが現状だ。

いざというとき、国家と運命を共にするのは国民のみであり、改めて国防、安全保障の観点から見て、安易に外国人に参政権を付与することは問題であると提起する。