「時局国際会議」活動報告

平成23年6月29日(水)
講師/林 建良 「台湾の声」編集長
「双英対決・2012年台湾総選挙の行方」
 
 馬英九政権の一番の功績は台湾人意識、台湾人の独立意識を高めたことだ。台湾では数年おきに「あなたは何人か」と問う世論調査があるが、最近の調査で「私は中国人ではない」とはっきり答える人が80%以上に増えた。これには中国寄りの馬氏によって中国人の台湾への観光が自由化され、台湾人が中国人のことを自分の目で確かめることができるようになったことが大きい。また、馬政権下では好調な経済成長を成し遂げた半面、若者の失業率は深刻で、不動産は高騰、格差も拡大を続けている。

現在、日々刻々と変化する総統選に向けた支持率の世論調査では国民党の馬氏と、民進党の蔡英文氏はほぼ拮抗している。しかし、台湾の世論調査は正確な民意を反映しているものとは言い難い。民進党への支持率は必ず低く出るようになっており、実際に陳水扁は一度も世論調査で一番になることなく当選した。台湾では戒厳令が解除されてわずか24年に過ぎず、中高年以上は戒厳令、国民党の恐ろしさを身に染みており、電話調査で正直に答えられるはずがない。しかし、戒厳令を知らない若者世代の多くは率直に蔡氏支持を表明しており、このことに馬陣営も危機感を強めている。

現状ではが勝つだろうが、中国の干渉、賄賂など不安定要素もいくつかある。外国の様々な動きも台湾の政治に影響する。実は日本も米中の意図に沿って台湾に干渉しており、残念ながら、これまで日本の干渉が台湾のために有益に働いたことはない。中国に何か動きがある場合、台湾で公平な選挙が行えるよう、日本は隣人としてぜひ声をあげてほしい。

 その後の質疑応答で活発なやりとりが行われた。まず、蔡英文氏への政治家としての力量について林氏は、「まったく未知数だが、“一つの中国”を唱える馬氏にならないことは間違いなく、もはや単に馬VSではなく、中国派と台湾派の戦いになっている」との現状を指摘。政策以前の問題としてはこれ以上台湾が中国寄りにならないようにという国民の意思表示の象徴にほかならないという。林氏は「菅政権の不手際に絶望感を抱く日本人のように、台湾人は幸せではない。台湾は政権内部に『自国が他国の一部になっている』と主張する勢力があり、政策以前に国の存亡がかかっているのだ」と切々と訴えた。