| 「政民合同會議」活動報告 |
「新政権でわが国の安全保障・防衛政策はどう変わるか− 変わること、変わらないこと」 ![]() 平成21年11月11日 講師/志方 俊之 帝京大学教授 |
20世紀は「戦争と革命の世紀」だったが、21世紀は「格差の拡大と是正の闘争の世紀」になろう。核や資源や先進技術の有無で国家間に大きい発言力の格差が生ずる時代になる。核を持たぬと決め、資源もなく、先進技術の開発でも衰えを見せつつある日本は、どのような国家像を描いていけばよいのか。 民主党政権が発足して以来「主体的な」外交戦略の構築、「対等な」パートナーシップの構築、日米地位協定の「改定」を提起、米軍再編や在日米軍基地のあり方等の「見直し」、テロの温床除去のための「NGOと連携した」人道復興支援活動といった言葉がマニフェストなどに頻繁に登場するようになった。しかし、安全保障・防衛に関する戦略については自公政権とそう変わらないと見てよいだろう。 現在、わが国の防衛は以下の7つの問題を抱えている。 @国家戦略における目的と手段の混淆:国家の四本柱は「政治・経済・外交・軍事」だが、日本は軍事という用語を忌み嫌って「政治・経済・外交・防衛(安全保障)」とすり替えている。 A防衛力整備のタイムスケールでの混乱:国が危機管理体制を整えるには20年以上かかる。いま中国・ロシアは国防費を急上昇させているが、日本は下げる一方であり、このままでは30年後に中国の「東日本人民自治区」になるかもしれない。 B立国の必須要件における混乱:海外から資源を輸入・付加価値を付与し、製品を輸出する「海洋通商国家」としての必須要件を追求する以外に生き残れない。 C国際社会におけるリスク分担が不足:石油資源を中東に全面依存している日本は世界平和をもっとも必要としているにもかかわらず、国際活動を「貢献」扱いし、「責務」とは考えていない。 D安全保障・防衛の法整備が未完:安全保障基本法や情報管理基本法などが必要 E安全保障で米国への依存が過大:核の傘、軍事情報、軍事技術、シーレーン防衛 F国家としての情報集約力不足:日本版のCIAやNSAは本当に要らないのか。 これからの「核の傘」は冷戦時代のそれと同じではない。今後は非核三原則の見直し・集団的自衛権の行使などが求められよう。核を持つことができる日本が自ら非核政策を採る「can but not」立場を貫き、181の非核国のリーダーとして安保理に常任理事国として入ることが大切である。島国の日本はドイツのようなnuclear sharing(有事に備えて戦術核を米国の管理下でドイツ領内に保有する)の方策は必要ない。 中国は軍事費を5年で倍増させ、南シナ海では米軍への妨害行動に出ている。その目的は南西諸島付近からグアムを中国の海にすることであり、ガス田問題では何の進展もない。こうした行動に備えるためにキーポイントとなるのが沖縄であり、日米両国が普天間基地の機能を沖縄以外へ移転する選択肢はない。 北朝鮮問題の今後としては、中国主導で改革解放する実質的「北朝鮮自治区」、チャウシェスク型の「自己崩壊(大量難民の襲来)」、瀬戸際政策を踏み出す「アメリカ挑発」(プエプロ事件やトンキン湾事件)等が考えられ、各段階で日本はどう行動するかがポイントとなる。日本の原発は日本海側に集中しており、万一テロがあれば壊滅的な打撃をもたらす。原子炉の事故だけでなくテロに備えた訓練も必須である。 新政権で社会・経済政策は「変わる」が、危機管理や安全保障政策の根底は「変えるべきではない」。 ユーモアを交えながらも鋭く緻密な志方氏の弁舌に質疑が相次ぎ、熱のこもった討論が展開された。 (文責/高村 時局心話會事務局) |
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