「政民合同會議」活動報告

「21世紀の大国−中国とのつきあい方」


平成21年12月2日
講師/莫 邦富(モー・バンフ) 作家・ジャーナリスト

 
 日中関係は、経済上において非常に連携を強めている。100万人単位の中国人が日本を訪れるというのは、歴史上かつてない事態といえるであろう。しかし中国人の対日感情、また日本人の対中感情は悪化したままだ。
 かつて東アジアは一つの強国によって治められていたが、今は2大国の競い合う時代になっているせいもあるだろう。2003年のGDPは日本の3分の1に及ばなかったものの、今年末か来年には追いつくことが予想されている。日本におけるバブル後の「失われた10年」と時を同じくして、中国は急速に経済発展を遂げた。昨今の日本が中国の「反日」に敏感なのも、一種の自信喪失から来るのであろう。
 一方中国の視察団で当初「新宿より上海の方が進んでいる」などと言っていた人が、後で印象を改めることもある。土地の狭い隙間をごみ捨て場にせず木を植える、旅館の人がずっと見送ってくれる、など日本人の心配りに感動する人が多いのだ。かつて日本のハード面にばかり注がれていた目が、今はソフト面に向けられつつある。40代以上の中国人には日本を大国と見る意識が残っているが、改革開放時代以降に生まれた若い層にはそれがない。中国人の日本人観が変化しているのと同様、日本人も中国人観を改めるべき時に来ているのではないか。
 もちろん、中国にも問題はたくさんある。貧富の格差がその代表だが、文革時代は悪平等下での安定があった。現在の中国人が格差社会に不満を抱いているのは、むしろ権利意識の芽生えと見るべきである。またかつては毛沢東に誰も逆らえなかったが、現在は中国共産党も絶対の存在ではない。四川大地震の際も胡錦濤がただちに現場に駆けつけるなど、国民の目を意識するようになっている。
 改革開放から30年、崩壊寸前だった中国経済は世界第2位までのぼりつめた。これからの課題は今後30年間で、経済発展に見合うソフト面、文化面の魅力を出せるかどうかである。
 新幹線の平均遅延時間18秒、通気や緑を考慮した都市計画など、目立たないながら日本が世界に誇れる点は多い。だが公害が続出、東京オリンピックで機動隊が出動するなど混迷もあった。それは今中国が通っている道でもある。GDPが一気に上昇する高度成長期、富の再分配で社会が動揺するのは当然なのだ。
 中国が日本に学ぶべきことはまだたくさんある。だが日本も中国に学ぶべきだ。まじめすぎる日本人はやる気や行動力、アピール力などでとうてい中国人に及ばない。日中は確かに「ライバル」だが「敵」ではない。互いの長所に学び競い合って、新たな人間関係を構築していくべきではないだろうか。
 言葉だけの「友愛」ではない、日中社会の表裏を知り尽くしてはじめて可能な、ユーモアたっぷりながら含蓄ある講演だった。参加者との意見交換も活発で、今年最後を飾るにふさわしい盛会となった。




(文責/高村 時局心話會事務局)