「時局プレス会議」活動報告

平成22年5月19日
講師/平松茂雄 中国軍事専門家
                   「中国の脅威と沖縄」  

 

わが国周辺の東シナ海と西太平洋の海域では、軍事訓練を行った中国海軍の艦載ヘリが海上自衛隊の艦艇に異常接近したりなどの出来事が頻発している。背景には、日本が実質的に支配する尖閣諸島を含む東シナ海の排他的経済水域を勢力圏内に取り込もうとするばかりでなく、沖縄南方や、わが国最南端の領土である沖ノ島周辺海域に至る西太平洋に勢力圏を確立することを目指す中国のねらいがある。

中国は建国以来、核兵器の開発に最も力を注いできた。広大で複雑な地形を持つ同国を通常戦力で防衛することは難しい。最小限の核兵器をまず装備することで抑止力とし、最近では通常戦力にも注力。長期的な軍事戦略構想の下、核、衛星の開発も着々と完了させ、外洋に進出し、不気味な存在感を強めている。

わが国では最近、連日のように普天間問題が取り上げられているが、沖縄は地理的にも非常に重要な位置であり、米軍基地問題以前に、日本は中国軍の出方にどう対応するかということの危機意識が欠如している。いまだに米ソ冷戦当時の、北方重視の防衛策を続けている有様だ。いまある防衛力をいかに効率的に配置し、中国の進出に備えるかの対策を早急に具体化せねばならない。

 東アジア・西太平洋では、青島、寧波に各司令部を置く中国の北海艦隊と東海艦隊が太平洋に出るために東シナ海から沖縄本島と宮古島の間の水域を通り、そのまま南進すれば沖ノ島の西方海域に出る。東シナ海のど真ん中には、中国が30年来開発してきた石油ガス田がある。つまり、ガス田は単に資源開発だけでなく、艦隊の通航を守る役割を果たしているのだ。一方、南シナ海を守る南方艦隊は、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を抜ければ、沖ノ島の西方海域に出ることになり、この海域で中国の三艦隊が合流できる仕組みだ。中国にとって日本の周辺海域がいかに重要な海域であるかがわかろうというものだが、わが国政府にはそうした危機意識が欠けており、このまま放置を続ければ中国海軍の既成事実が積み重なり、米軍の行動は制約され、日米安保体制は無力化するだろう。そうなれば日本のシーレーンの要にある台湾は中国に統一され、日本も中国の属国と化すおそれがある。

 その後の質疑応答では、国家としての戦略に欠ける日本を憂い、活発な意見交換が行われた。