「政民合同會議」活動報告
       
                      平成23年1月12日(水)
              講師/猪瀬 直樹 作家・東京都副都知事
 
「この国のゆくえ」

 

 世界で水道の蛇口から直接水を飲める国は11カ国しかなく、中でも国全体で飲めるのはわずかに日本とニュージーランドに過ぎない。東京都の上下水道の運用システム、料金徴収率、浄化技術の高さは世界一であり、水質の評価も非常に高い。漏水率も世界一低く、メンテナンスも万全の体制を敷いている。しかし、技術は世界一であっても、日本では水道経営の実権が自治体にしかなく、国家としての経営戦略がないため、世界市場への売り込みに大幅な遅れをとっている。水と安全はただではない。新興国の経済成長に伴い、世界の水の需要は今後爆発的に増えることが予想され、水道を安定的に供給できるシステムは石油以上の戦略的物資になることが確実だ。

 現在世界市場を跋扈しているフランスの水道メジャーだが、フランスの場合、複数の自治体が協力しあって民営企業として成長を続けている。現在、東京都も都主導によって、大手総合商社やプラントメーカーと協同しての海外進出を計画している。現政権には成長戦略がないが、東京都が水道事業を通じて国際市場への種を播くことで税収増、雇用増につながり、日本を元気にすることができる。

 このほか、猪瀬氏は諸外国への経営戦略に欠けた日本のODAの実状や、メトロと都営地下鉄の経営統合の必要性など、国家と東京都の抱える問題点を鋭く指摘し、明確な経営戦略を持つことの重要性を強調。東京都の持つ大きな可能性について力説した。その後の質疑応答でも活発な議論が行われ、活気あふれる講演会となった。