「政民合同會議」活動報告
       
                       平成24年1月11日(水)
          講師/岡崎 久彦 NPO法人岡崎研究所所長・理事長
                      元サウジアラビア・タイ大使
「最近の国際情勢と日本外交」


 米国が具体的な国名こそ挙げていないが、「“一つの戦争”と、“もう一つの大きな有事”に対応する」との国防政策を発表した。その一方、国防費は削減されるが「アジア太平洋からは引かない」とも強調。今後、同盟国に国防費の負担増を求める可能性が高い。

 2009年の1年間、米国は台湾に武器を売らない、ダライラマにも会わないなど、徹底的に中国を甘やかしたが、オバマ大統領の訪中が終わった途端、反中に転じた。クリントン国防長官の巧みな政治手腕には驚く。

 TPPは、一長一短あるが、日本は加盟交渉に参加し、よい部分を伸ばしていくしかない。中国、韓国をはじめ、どこの国でもやっている農業政策を、日本は1990年代に放棄してしまった。

二十年間停滞したままの経済をこのまま続けるわけにはいかない。手をこまねいている間に、農業就業者の平均年齢はますます上がり続けるばかりだ。

 日本は産業政策をつくって立て直す必要がある。それには莫大な費用がかかるが、国債を使えば済むことだ。次世代の繁栄のためには必要だ。1990年代の日米摩擦当時、米国は本気で日本を叩き潰すつもりだった。しかし、バブル崩壊後、日本経済は縮小し、米国は日本を脅威とは思わなくなった。あの当時の意識でTPPを考えるのは間違っている。

 北朝鮮ほど、変わらない国はない。かつてCIA2000年当時、「ここ数年で崩壊する」との見通しを出したが、実は安定政権。国内の治安能力がある限り、北朝鮮の体制は現状維持が続くだろう。なにも大きなことは起きないのではないか。「日本としては口を出すべきではない」というのが40年間変わらない私の主観だ。

 北朝鮮への対応は、米韓の決断に委ねるべきだ。

 岡崎氏は、このほか、中国、イラン、ミャンマーについても言及。

 質疑応答で、台湾で馬英九が再選されれば中国の影響が強まるのでは、との質問に対して、「4年前ほど危機的な状況とは捉えられていない」と明言。馬英九は就任当時、反日的な言動が強かったが、反日的な言動を行えば、国民の支持を失うことを理解。「台湾はやはり民主主義国家である」と結論づけた。

 また、中台政治協定を結ぶという話が出ると支持率がすぐ落ちる。馬政権の間でも政治的接近を国民は望んでいないことがわかってきた。「台湾の民主主義が続く限りは大丈夫だろう。馬が当選しても中国の思うような政治協定は結べず、現状維持となるのではないか」との見通しを語った。